ゲート

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 今までの人生でいくつかのゲートをくぐってきた。小学生のとき、在校生が手と手を合わせて作るゲートをくぐった記憶がある。合格した学校の門を晴れ晴れしい気持ちで通ったときもある。かくして、門とは暖かく迎い入れてくれるものだと信じていた。
 だが今日は違った。
 およそ歓迎とはほど遠い門だった。空港の出発ゲートに入ろうとしたときのことだ。
 最初くぐると、ピーと鳴った。そばに立っていた警備の女性がすぐに近づき、「携帯、持ってませんか」とするどく質問してくる。さすがにプロだ。確かに携帯電話をポケットから出すのを忘れていた。


 余談だが旅にはビールはつきものだ。まだ日が高いからといって例外ではない。その酔いも手伝って、なにも考えることなく、素直に携帯を取り出す。そしてまたゲートをくぐらされたんだけど、またピーと鳴る。
 同じ警備員が今度は小銭をポケットに入れてないかと訊いてくる。そうそう小銭が確かにポケットにあった。こいつ若いくせにプロ中のプロだな。そう感心していると、靴を脱げというではないか。
 プロには従うしかない。レントゲン室で服を脱ぐことを拒否されたら、仕事ができないのと一緒だ。ということで素直に小銭をジャラジャラと取り出し、靴を脱いで用意されたスリッパを履いてもう一度ゲートをくぐる。すると、また警告音が鳴るではないか。
 その警備の女性がまたまた近づき、今度は、鍵はないかと訊てくる。こいつ、ストーカーか。なんで知ってるんだ。ポケットには鍵がちゃんとあるのだ。恐れ入りながら、それを取り出してもう一度くぐると、さすがに今度は探知機は静かにくぐらせてくれた。
 でも、そう何度もくぐらせなくてもいいじゃないか、「携帯とか鍵とか小銭とか持ってないか」と最初から一度に聞けばいいじゃないか。それになんで靴なんだ。鉄の下駄を履いている弁慶に見えるのか、と普段なら息巻くところだが、今日だけは違う。
 なぜならこれから数日、南の島へ遊びに出かけるからだ。
 気分は陽気なチャンチキおけさ、いや、探知機OKさ、ってなもんで、なんでも許すことができるのだ。

チャンチキおけさ、とか,弁慶の鉄の下駄とか知らない人がいても許してあげよう。

“ゲート” への4件の返信

  1. よかったですね。裸にならずにすんで(^^)
    よく コントであるじゃないですか、(U)に反応してしまうやつが…  ひゃひゃひゃ (≧∀≦)

  2. 無事に ゲ―トを くぐる事を 変化のかい この直方の島で 応援してるナリo(^o^)o

  3. 陽のあるうちにゴールすることができなくなったことは知ってます。
    押し寄せる老化の波に一生懸命抵抗して、今年は無理なダイエットに走ってしまったのも知っています。
    その為に、先週体を壊して高熱と戦いながら当直をしていたことも知っています。
    幾多の難関をくぐり抜けて、宮古のスタート地点に立っていたものと思います。そして、今頃自転車にまたがり、老体に鞭打ちがんばっているのでしょう。
    なんとか9時までにゴール出来ることを願っていますよ。目指せ、時間内完走!

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