カウントダウン

 大晦日は、港に面した場所へカウントダウン年越しに。着いたのは30分ほど前。一部にステージが設定され、その前に五,六百人ほどの人が集まり、そこを中心に周りの娯楽施設にわたって人で賑わっている。それを、施設の二階の柵にもたれてぼんやりと眺めていたのね。
 ステージはそこからやや遠く、なんとか司会者の声が聞き取れるほどの距離で、いろいろ催し物があったみたいだけど、零時十分ぐらい前になってからネタが切れた感じになって。


 で、司会者が言い出したのが、ウェイブの練習をしようとのこと。さっそく司会者が練習のカウントダウンを始めた。ても、ステージの前の人たちには、やる気がないのかウェイブが起こらない。しかし司会者はもう一度、練習をやろうという。そんなのを三回ほどくり返してると、もう五分ぐらいが過ぎてしまって。
 でもやっぱりウェイブは起こらない。司会者は、「じゃあ最後にもう一度」としつこくウェイブにこだわってる。で、最後だからと気合いを入れてカウントダウンを始めたのが、約三分前のこと。
時刻といい、司会のかけ声といい、まさに本番さながらの緊張感が漂う。でも10から始まるカウントがゼロを刻んだあとに起こったのは、野球の応援で使うロケット風船が、勘違いでいくつも空を舞ったことと、これも勘違いで若造くんが二人、海へドボンと飛び込んだこと。
 結局、本物の波は立ったけど、客の間にウェイブは立たず、それからすぐに本当のカウントダウンを迎えてしまって。
院長 「やるならやるで、きっちり余裕を持たないとねぇ」
司会者「客が乗らないのがいかんと思うのですが」
院長 「そんなこといっても、新年初飛び込みをねらった若造くんたち、旧年最後の飛び込みになっちゃって気の毒でしょ」
司会者「やっぱり客が乗らないのがいかんと違うのでしょうか」
院長 「それじゃウェイブなんかやめて、カウントダウンだけすればよかったんじゃ?」
司会者「客が乗らないのが、いカウントちダウンじゃないでしょうか」

 まぁどっちもどっちってとこでしょうか。

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