記憶

先日ラジオでロシアの作曲家ムソルグスキーの「展覧会の絵」が流れていた。
遠い記憶がよみがえる。吹奏楽部の活動に中学生活の大半を注ぎ込んでいたときに初めて耳にした曲。深夜放送で流れていたような気がするが定かでない。ただとても気に入り部の仲間を前に、声を大にして唱って披露した。次回の自由曲にしようと提案したかもしれない。

番組の短い解説では、そもそも組曲でその有名なフレーズは「キエフの大門」のパートだという。

昔の記憶が今のキエフにつながる。脳細胞のシナプスに新しい連結が生まれているはずだ。

「キエフの大門」を調べると、キエフにある「黄金の門」と呼ばれる歴史ある、文字通りの大きな門だ。
その門の絵が展覧会にあり、それを眺める風景をムソルグスキーは曲にしたという。

だがわたしの脳細胞は「門」を大砲の数え方に結びつける、一門、二門と。
そして血なまぐさいイメージが記憶のシナプスとして作られて行く。

これから先、「展覧会の絵」を聴くたびに、キエフの惨状を思い出すことになるのだろう。