某大型ショッピングモールでのこと。似顔絵を描いてくれる画家さんが何人かおられて、実際に他の人が描いてもらっている様を見てると楽しくて時間が経つのを忘れてしまう。とりわけある画家さんの描いたヤツを見てると、そっくりというわけでもないんだけど、特徴を捉えてかつタッチもユーモラスで、。
そろそろ年賀状の案内が郵便局から回ってくる時期でもあり、来年の賀状には似顔絵でも出してみようかとふと思い立ち、ボクも描いてもらうことに。
画家さんは五十ぐらいの女性。神妙に席についたボクをチラっと見ての第一印象がこう。
「刑事さん顔ですね」
うーん、似顔絵を含めて絵には疎いので、刑事さん顔ってのがどういうのか分からないけど、思い当たることはある。
とういうのは、カウンターがあってお酒なんかを飲ませてくれるところなんかに行ったときなんか、なにしているか詮索を入れらることがよくあるのね。で、そのときカウンターの中の女性からいわれるのは、だいたい警察官かヤクザやさん。
まぁヤクザな医者ということでは当たらずとも遠からずってことなんだけど。
そういう場合は他の医者さん方の威厳を保つために、だいたいニコニコしながら聞き流すことにしてて、今回も「ああそうですか」と応えるだけにしておく。
で、その画家さん、やおら描き始められる。どういうイメージが湧いてくるのか、顎のとこのラインから引き始め、次に鼻のラインに。とてもボクの鼻とは思えないようなラインだったんだけど、こちらを向いては下で線を引くことを繰り返しているうちになんとなく、ボクの鼻っぽくなっていく。
で、ほぼその形が現れたとき、その女性いわく、「矢印が下に向いたような鼻ですね」
まぁ、ほめ言葉だと受け取り、黙って絵の進行を眺めていたんだけど、刑事さんといわれれば、そうかなぁというような硬派の顔が出てきてるじゃありませんか。
年賀に刑事顔じゃまずいよなぁ。こりゃいかんなぁと思っている矢先、「じゃあここをじっと見て」と自分の額を指さされる。どうも目を描く段に入ったようで。
せめて目だけでも、医者の雰囲気が入っていて欲しいと、それからは思いっきり微笑み続けることに。
でも、やっぱり出来上がったのは、矢印が顔に張り付けられた刑事が笑った顔。
画家さんの第一印象にマケージと笑い続けたんだけどなぁ…。
ご要望があれば、またの機会にアップロードでも。