スーダラ節

 以下は以前のHPで興味あるサイトを紹介するコーナーに掲載していたもの。

 もう四十年も前の話。植木等というコメディアンの「スーダラ節」という歌が流行った。

 チョイット一杯のつもりで飲んで いつの間にやらはしご酒 
 気がつきゃホームのベンチでごろ寝 これじゃ身体にいいわきゃないよ
 分かっちゃいるけどやめられない

 この歌詞を歌ったあとに、ゴリラが斜めに立ち腕をぶらりと下げたような格好で、膝を貧乏ゆすりさせながら下げた腕を左右に動かす振り付けがあった。わたしはヒマがあれば、いつもこの歌を歌い、格好を真似ていた。
 実家はのれんの大きな呉服問屋を営んでいて、その頃は従業員がたくさんいた。その人たちを相手に、幼稚園児のわたしが、この歌を歌いながら手をぶらぶらさせてたのだ。忙しいなか相手をさせられ、上目遣いに見つめる、こまっしゃくれたこのチビゴリラを、いつか張り倒してやろうと思った方もなかにはいただろうが、アホとはいえ店の息子ゆえ、そうした被害に会わずに無事幼少期を切り抜けることができている。

 今にして思えば不思議なことだ。なぜ、あの歌を気に入っていたのだろう。幼稚園をさぼっては、従業員の方の運転する車に潜り込み、一緒に得意先を回っていたわたしにとって、サラリーマンの悲哀を子供ながら感じることができたのであろうか。
 幸か不幸かサラリーマンとは違った道を歩んでいるが、チョイット一杯のつもりで飲んで、いつの間にやらはしご酒、気がつきゃ駅前の歩道でごろ寝をしたことのあるわたしは、やはりあの歌の心を忘れられずにいる。

 巡回セールスマン問題というのがある。セールスマンがある位置からいくつかの点をそれぞれ2回通らずにもとの位置にもどるための最短の組み合わせを求める問題だ。組み合わせの問題だが、巡回する地点が増えるとその計算はとてつもなく大きなものになる。
 たとえば回らなければならない箇所が30近くもあると、1秒間に1兆回計算できるコンピューターでも200兆年以上かかることになるという。
 だったら計算するのをやめて、さっさと回れば済むのにと思うのだが、とにかく相当にめんどうな計算の近似解を求めるいろいろな方法があるようだ。

 このサイトは関西外国語大学 短期大学部の上山氏のものである。

 植木等さんのご冥福をお祈りいたします。

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