題名は小説に登場する架空の車種名である。
騙すものとされるもの 搾取するものとされるもの 差別するものとされるもの、
そうした人々の出会いが絡み合い、ときおり背景に登場するブレイクショットも相まってひとつの物語が作り上げられていく。
作家の想像力というものに改めて驚かされるのだが、一方で人生を俯瞰することができれば、人と人の出会いは濃淡の差はあれ、そんなものだろうと変に冷めた自分がいる。
なぜだろう。
話にも出てくるがブレイクショットとはビリヤードの最初の一撃でもある。
地球が形成されてしばらくして、細胞の自己複製が始まったのだが…あ、そうか。本を読み進めているうちに、その瞬間のイメージとブレイクショットが重なっていったのだろう。
複製が始まり種の歴史が開始されやがて人が登場する。そして遅からず騙すものとされるもの 搾取するものとされるもの 差別するものとされるもの、そうした人達が形成されていったはずだ。
どんなにすばらしい構想と筆力でその縮図を提示されても、という感がぬぐえなかったのだろう。
願わくば、院長の人生でブレイクされショットされ続けた”愛”も多く交えて語って欲しかった気がするのだが、本を買うものと買わされるものの間では言っても仕方ないことか。