玉手箱

昨日パソコンショップに行き、本をなん冊か購入して遅蒔きながらJAVAとかscriptとかの勉強を始めた。この手の”学習”みたいなものを始めるとき、理解できないことに出くわすと、とりあえずそこはとばして次に進む。そこのところはブラックボックスにしておくわけね。
 このブラックボックスという言葉にまつわる思い出をひとつ。


 中学校のときだったろうか、そのころではめずらしいコンピューターに関心を持っていたごく身近な肉親が、ボクにCPUの話をしてくれたことがある。CPUというのはCentral
Processing Unit の略語で、日本語では「中央演算処理装置」。いまでこそ分かるが、仰々しい名前にふさわしくすべての処理を行うコンピュータの心臓部といったところ。
 で、ボクがそのCPUというはなにをやっているところなのかと訊くと、それはブラックボックスだという。そのブラックボックスのなかでなにをやっているのかと訊くと、それはそれぞれのメーカーの企業秘密だという。
 もう今から何十年前の会話だけど鮮明に覚えているのは、そのときのもどかしさゆえに違いない。
 結局1+1や1+0の計算が回路的にどう表されているのかを知るまで、どうブラックボックスなのかというイメージの手がかりさえなかった。CPUの基本中の基本は、そこに落ち着くわけで、せめてそういう説明のあとに演算処理のための回路がどう設計されているのかは公表されていないとかいっていただければ、納得したのに。
 でもなんで、ブラックボックスなんて名称なんだろう。コンピューターに限らずこの言葉はいろんな分野にみられるものだと思うんだけど、”ブラック”から受ける否定的なニュアンスとは裏腹に実際は”玉手箱”みたいなすてきなことを担っているものに使われている用語じゃないだろうか。
 CPUの場合もそうだし、飛行機事故なんかのときのフライトレコーダーなんてのもブラックボックスといわれてるみたいだけど、飛行軌跡が分かる玉手箱なんでしょ。
 思うに、賢いやつらが、凡人には分かるまいという立場でつけたネーミングじゃなかろうか。
 うーん、でもそれならそれで結構。なんとか玉手箱のなかを見てやるぞって気合いが入ろうってもの。
 浦島太郎と違って、箱の蓋を開ける前にもうおじいさんになってるかもしんないけどね。

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