黒い雪

ネタ元にある写真はシベリア地方にあるグズバスという街の風景だ。黒い雪が街を覆っている。人口が260万とのことだから、調べてみると大阪市とちょうど一緒ぐらいの大きな街だ。ここには世界最大の炭田があり、そこから有毒の炭塵が吐き出され続けているという。

「冬の間、黒い雪より白い雪を見つける方が難しい」と非営利の環境行動グループの人が語るほど事態は深刻で、クズバスの国民の平均寿命はロシアの全国平均より3、4年短く、結核および小児精神障害にかかるリスクはほぼ2倍。

なぜこんな事態になるまで放置されていたのか、あるいはされているのか。
ある石炭工場関係者は地元のメディアに対し、炭塵が工場から流出するのを防ぐためのシールドが機能していないと語っており、工場の責任は明らかで、またこの事態を許している行政も同罪だ。

いっぽうで住民の見て見ぬ振りが、こんな風景を生み出した要因のひとつではないだろうか。ここまで真っ黒な雪が降り積もる前に、もう少しましな色、そう、紺色程度に染まった雪が降ったはずなのに、避難の声は上がらなかったということなのだろう。

そうだ、こうした我関せずの態度がいかにだめなものであるかをいさめる、むかしからの日本の歌がある。おくればせながらグズバスの人々にこの歌を届けたい。

雪や紺紺、あられや紺紺、
降っても降ってもまだ見ぬ振りやまぬ

Black Snow Is Falling