囲碁

 いつ登録したかまったく忘れてしまったのだが、cleansmell というIDを持っている。”clean(クリーン)”は”清潔な”、”smell(スメル)”は”香り”だ。つまり”清潔な香り”という意味だが、なぜそんなものにしたのか、これもまったく記憶にない。きっと深い意味などなく飲み屋さんあたりの女の子から”オヤジ臭さぁ”なんていわれ、それがトラウマになってこんなIDにしてしまった、なんてのが関の山なんだろう。


とにかくこのIDを使って有名ポータルサイトの囲碁をやっていた。無料で参加できるため常に大人数でにぎわっているサイトだ。(たった今も覗いてみると4000人以上が集まっていた)囲碁にまじめに取り組んでいる人には失礼とは思うのだが、こちらが参加するときは、いつもアルコールを手にしたときだった。お酒のせいで気が大きくなり勝てるような気がしたのだろう。
実際、いつも中盤まではうまく打ちまわしているような気がする。だが終盤になるとアルコールのせいもあってか、手がすべってしまう。頭のなかだけでなく、実際ついついマウスの操作を間違えてしまうこともあり、なんだかんだで結局最後は負けてしまっている。
最初はこちらが手がすべっているだけかと思ったけど、中盤もそうで、ついには終盤まででたらめだったな、と相手は思っているかもしれないが、それは見解の相違というものだ。とにかくなんだかんだで負けが込み、いつの間にかそのサイトから遠ざかっていた。
どういうわけか、そのサイトに昨日ふと再チャレンジしてみたのだ。ビールジョッキタイプのマウスがあればいいと思いながらのチャレンジで、中盤まではうまく打ちまわしていたが、終盤に近くなるとやはり手がすべって結局負けてしまった。
なぜ負けてしまうのか、悩んでいたらこんな記事があり少し気になったのでメモしている。米国の心理学者の実験によれば清潔な匂いが漂う部屋の人々は公平性と寛容性に関し劇的に増大するというのだ。以下はヘタ訳の抜粋。

最初の実験では、公平性を評価するためて、参加者は古典的な心理学の信頼ゲームを行った。被験者は12ドルの実際の金銭(別の部屋の匿名のパートナーによって送られた)を受け取った。その後、彼らはそのお金をどの程度持ち続けるか、あるいはそれを適正に分割するためにそれらをパートナーにどの程度戻すのかを決定しなければならなかった。清潔な香料入りの部屋にいた被験者はパートナーからより搾取しようとせず統計的に優位に高い額を戻した。「普通の」部屋の人々によって戻された現金の平均額は、2.81ドルで、清潔な香料入りの部屋の人々は平均5.33ドルを戻したのだ。
第2の実験は、清潔な匂いは慈悲深い振る舞いを促進するかどうかを評価するもので、慈善事業への参加と資金の寄贈に対する被験者の関心を示すものである。清潔な匂いが漂う部屋で調査された被験者は、普通の部屋(3.29)の被験者より、志願すること(7ポイントスケールで4.21)に統計的に有意に興味を持っていた。さらに、清潔な匂いが漂う部屋での被験者の22パーセントが金銭を寄贈したいと言ったが、普通の部屋の被験者は6パーセントに過ぎなかった。

囲碁は、つまりは陣取り合戦。相手より多く陣地を確保した方が勝ちのゲームだ。非公平性と非寛容性にすぐれたものが評価されるさびしいゲームなのだ。強くなくてよかったと胸をなでおろしたが、ふと重要なことに気づいた。
IDはcleansmell、つまり”清潔な香り”だったのだ。これではこちらが公平性と寛容性に満ち溢れた姿勢で碁盤に臨むことになる。わたしの方が多く陣地をもっているから、少し君に与えよう。わたしの陣地が欲しいのかい、いいだろう、いいだろう、勝手にもって行くが良い-これでは勝てるわけ無いではないか。
さっそくIDの変更を考えはじめたが、九分クリーン、スベル、なんかおもしろいな、などと思いついたとたん、なんだかとっても寂しい気持ちになるのであった。

ネタ元
Cleanliness next to goodliness

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