驚愕の事実

最近順調に老いている感がある。とくに目がいけない。どんどん視力が落ちている。大病を患わなくても、このままいけば老いは身体に染みわたり、やがて朽ち果てていくのだろう。これを、トントン病死と名付けたい。

それはさておき、件の視力。
何十年前からコンタクトを使っていて、見づらくなって新調したのが2年前。しばらくはよかったがまた視力が落ちたため、また変えた。視力の鍛え方がたりないせいではないかと考え、本屋で物色していると、「リング」の鈴木光司さんの手による「エッジ」という小説があったのでさっそく読んでみたのだが、そこには驚くべきことが書かれてあった。
なんとこの宇宙が消滅するというのだ。
人がある日、忽然といなくなる事件がことの発端だ。やがて円周率のπに変化があわられ、リーマン予測が崩壊し、つまりはこの宇宙のすべての秩序が失われていくというとても壮大な構想の小説だ。いくつもの科学的事実をもとに書かれているため、あながち嘘でもないとう気がしてくる。本当に宇宙は実はきわめて不安定な状態にあるのかもしれない。
驚きはそれだけではなかった。冴子という女性の名が初っ端に出てくるのだが、何頁にもわたって名字が出てこないのだ。最初はこんな書き方もあるんだぐらいの違和感しかなかった。
その違和感はやがてぼんやりとした疑問になり、その疑問は表紙へと視線を向かわせた。そして驚愕の事実が判明した。なんとそこには「エッジ 下」とかいてあるではないか。つまり上下巻2冊からなっているにも関わらず、手にして読み始めたのは下巻だったのだ。
それでも背帯で話をかいつまんだせいもあってか、結局最後までほとんどとまどうこともなく読めてしまった。上下の区別が付かないくらいは、まぁ宇宙がなくなることに比べれば大したことはないか。
ちなみに「エッジ 上」は眼が疲れたので読む予定はない。