ジャクサ(JAXA)

最近、夜の街に繰り出さなくなった。このおやじのそんな善行をJAXAは宇宙から見ていたのだろう、こんなメールが届いた。

「この度は、『ディスカバリ-チャンネル x JAXA 科学実験館~コズミックカレッジ~福岡会場』にご応募いただき、誠にありがとうございました。厳正なる抽選の結果、貴方様がご当選されました
今回のテーマ:『もうひとつの地球へ、大冒険!』
(中略)
主催:
ディスカバリー・ジャパン株式会社 | 国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)
共催:九州大学 大学院工学研究院
協力:株式会社ジュピターテレコム
協賛:三菱電機株式会社」

何があるか分からないけど、無料だというので双子の子らのために、カミさんが応募していたらしい。早速、朝早くから大学のある年まで車を飛ばす。
大学の講堂には朝早くから列ができていた。小学生対象の企画でメールによれば選ばれたのは500名ほどいるという。午前、午後の2回に分けて行われるらしく、その半分の子供たちと、そしてその家族を含め合わせて400名近くの人が集まっていた。
その周りにスタッフと思しき人に紛れ、ブルーの宇宙服を着た人が数名いる。JAXAのスタッフだ。
地べたを這うような人生を送っているものとして、ああ、日本でもっとも宇宙に近い人たちなんだなぁと感慨深く見つめる。

やがて男女2人のJAXAメンバーが司会の元、会は始まった。au の月面世界競争「HAKUTO」の話や、宇宙船が宇宙空間で加速するスウィングバイやガウス加速器の実験など、子供でなくてもとんでもなく面白くとても興味ある話ばかりで、あっと言う間の2時間だった。

その進行中に、ふと思い出したことがあった。昨年見た「ゼログラビティ」という宇宙ステーションの事故から地球へ生還する映画の中でのワンシーンだ。
主人公がステーションからほかのステーションに移らなければならないシーンがあったのだが、最悪なことに宇宙服がない。
そこで主人公は考える。人は宇宙では宇宙服がなくても1分ほど生きていられるはずだ、と。

えー、そんなわけない、と見ていてその時は思ったのだが、主人公が宇宙服のないまま、短い距離だが、ゆっくりと宇宙空間を漂い件のステーションまで辿りついた映像を見せられると、えー、そうなんだ、と思ってしまうしかなかった。

でも冷静に考えると、やはりそんなことは無理だろう。でもこの科学が普及したご時世に、堂々とそうしたシーンを映し出す映画があるのなら、やはり本当なのだろうか、などともやもや感だけが残っていた。結局、その疑問はいつの間にか途絶えていたのだが、それをふと思い出したのだ。

せっかくだから会が終わったあと、ブルーカラーをまとった正真正銘のJAXAの人に聞いて見たらこんな答えが返ってきた。
「わたしはやったことはありませんが、絶対無理です」

胸のつかえがサーと取れて行く。考えてみると、やっぱりあり得るわけがない。なんとバカだったんだろう。
この企画はこんなおやじのような知的弱者を救ってくれる会でもあったわけだ。
これがほんとのJAXA救済。