ブロークンウィンドウ

 クルマの窓に貼っている黒いスモークシートは違反になるから取ったほうがいいと、昨日友人から連絡があったが本当だろうかと、今日、若いスタッフの方から質問された。朝早い情報番組で同じ内容のことが流れていたので、その情報をそのスタッフに教えてあげた。なんでも罰金がン十万円、禁固刑かなに刑かしらないが、6ヶ月以内だと。
 ついでに、おそらくブロークンウィンドウ理論による取り締まりじゃないかと、これまた受け売りの知識を披露したのでありまして。


 この理論、米の社会学者が、路上に放置したボンネットを開けたクルマを材料に、人はどんな風にワルになっていくのかというのを調べたものらしい。ボンネットを開けただけではなにも起こらなかったが、窓を割ると、とたんに通りすがりの人がクルマのなかのものを、なにやかや盗み始めたという。要するに、ちょっとした秩序の破壊を放置すると、大きな秩序の破壊につながるという理論らしく、犯罪都市ニューヨークもこの視点をもとに、落書きなどの軽犯罪を徹底的に取り締まることによって、秩序を取り戻したという。(ここの「ニューヨークの地下鉄の治安回復」あたりを参照)
 で、きっとちょっとしたクルマの改造なんかを取り締まることで、暴走族対策でもやろうとしているんじゃなかろうかと、スタッフの方におしゃべりしたわけ。
 そうとう真実味を帯びてきたように思われたのだろう、「じゃ、取らないといけないのですね」と真剣に気落ちされてたので、駐車場に出てどれほどのスモークなのか見に行ったけど、それほど黒くもなく、まず大丈夫だろうってことで落ち着いた。
 もし、それらしき検問に会いそうになったら、いっそうのこと窓を全部おろしてしまえばいいしね。
 で、暴走族となんとなくつき合い始めたサブは、自分も格好をつけねばとクルマの窓にスモークを貼った。
 彼女とデートの日。彼女もスモークを気に入ってくれたみたい。楽しくドライブしてると、クルマが渋滞し始めた。どうも前方でその手の検問をやっているようす。サブはあわてて電動スイッチを押して窓を全部おろした。やがて警察官が近づいてくる。
「この窓が黒いのは、なぜなんだね」
 警官は詰問する。彼女はサブの腕をあわてて引いた。
「サブローくん。窓!」
 彼女の視線を追うと、後部座席の窓の一つが上がったままなのに気づく。降ろし忘れていたのだ。
 もちろんサブはこってりとお説教を聞かされ、たっぷりと罰金を払わされた。
 でもね、「サブロークン、ウィンドウ!」理論のおかげで、サブくんはワルの道に入らずにすみましたとさ。

 ああああ、もう3月も終わりだというのに。まっとうに世の中を見つめねば。

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