タイプライター

幼いころ、家にオリベッティタイプライターがあった。キーを打つとアームが下から上へと立ち上がりアームの先に刻まれた文字が紙に印字される。ところがめちゃくちゃに打っていると隣り合ったアームが絡みあい、動作が停止することがある。
実際、タイプライターを見たことのない人にはなかなか想像しにくいだろうから、今となっては貴重な体験だったと思う。
だがこの経験がおろかな行為の元凶になっていたことに最近気づいた。
ああ、神さま仏さま、わたしはなんとうそつきであったのでしょうか。
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ボス

上野動物園に行ったときのこと。雨のなか1時間ほど待ってパンダの汚れたおしりを見たあと、足のむくままほかの檻を見て回わる。ニホンザルの矢印が目に入ったのでそこに向かうことにした。途中、子供らとたわいのない会話のやりとりをする。
オヤジが「サルにはボスがいるんだぞ」子供が驚く「え、そうなの?」
「別府の高崎山にもいたじゃないか」「あ、そうだったっけ?」

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「京大変人講座」

連休を利用して東京に行ったとき、書店で手にしたもの。
京大のいろんな学問の教授らが、普通とは異なる姿勢で研究に向かうことの大切さを平易に述べたもので、旅先で一気に読めてしまった。

人間環境学教授が担当する箇所に数学者の森剛さんの言葉が紹介してあった。
「誰にでも平等に、不平等はやってくる」というもの。

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東急ハンズ

先日耳栓を買ったときのこと。東急ハンズの入り口にある受付で、売り場を尋ねると、受付嬢は即座に3つのタイプ、すなわち、ひとつは水泳用、ひとつは工事現場などで用いる作業用、ひとつは家庭用で、それぞれどの階に売っているか説明してくれた。
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仮説検定

統計手法で仮説検定というものがある。たとえば「ビールは風邪に効果がない」か確かめるのに、「ビールは風邪に効果がある」という仮説を立てて論理を進めるのだ。もしこの仮説、つまり効果があるはずなのに風邪が治るということがめったにしか起こらないということが分かれば「ビールは風邪に効果がある」という仮説はなんだか違うぞということになり、捨てられる。つまり効果がないということになるのだ。
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耳栓

事情があって週に何度か場所を変えて夜を迎えることになった。その場所は都会にあるマンションの一室でアクセスもよく、小ジャレた雰囲気が漂う部屋なのだが、残念なことに近くに消防署と救急病院があるため夜中でもサイレンがときおり響くことがある。
近隣には戸建ての団地があるのだが、別に「サイレンやめろ対策委員会」からのビラなども目に触れていないところをみると、それほど周囲のひとは気にしていないのかもしれない。でも職業柄か、どうしても脳髄の奥深いところで臨戦態勢の緊張感がちらりとわいてくるのだ。
そこで購入したのが写真の耳栓。

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「かたみ歌」

うちのクリニックの建築は単純な長方形の組み合わせとは微妙に異なり、おおざっぱにいえば漢字の「下」のようになっている。書き順で「下」のはじめの横線が 1 で以下 2,3 と番号を割り振ると、これもおおざっぱに 1 のあたりに待合と患者用のトイレがあり、1 と 2 が分ける左の部分が受付と診察室、2 が診察室への廊下、3 がスタッフ用のトイレになっている。この 2 の廊下から 3 のトイレに入るとまず目に入るのが洗面台にある鏡だ。
その鏡に奇妙なものを見たのは、数年前の正月のことだった。
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導入

There are no teensy cups の文言で始まる科学記事があった。蚊のおしっこでウイルス検査をするという内容で Susan というレポータの署名がしてある。内容はざっと以下のようなものだ。

蚊の唾液を調べることで蚊が媒介するウイルスを調べることは、その病気の広がりを防ぐために有効であるが、唾液の量が少ないので、なかなかウイルスを検出するできない。
そこでオーストラリアの研究者は蚊のおしっこに目を付けた。というのは蚊の唾液量は5ナノリットル未満程度だが、おしっこは約15ナノリットルあるからだ。
この方法で検査するとおしっこでは3つのウイルス(West Nile、Ross River、Murray Valley脳炎)を拾い上げたが、唾液検査は2つしか検出できなかったという。
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