親指姫

寝不足のせいか最近、白昼夢を見るようになった。
今日も科学サイトの記事をながめていたとき、意識がぼやけてきた。
記事の内容は携帯メールなんかを指でせっせと送っていると近い将来、疲労障害が起こるぞ、と警告するもの。とくに若者に向けての人間工学研究者からのメッセージになっている。肩と背中を固定させて指だけを早く動かすという点で携帯のタイプはコンピュータのタイピングと類似しており、コンピュータ作業で現れる疲労障害-手根管症候群や滑液胞炎、腱鞘炎など-と同じことが起こるに違いないというのだ。


実は記事は「タイピング早さの世界記録保持者はユタ州の21才の学生」という文で始まり、上の写真が掲載されている。
どういう記録大会なのかは述べられてはいないが、まずこうした携帯を用いての競技だったのだろう。そんなことを考えながら、写真を見ていると、ふと、親指姫ってどんな話しだったっけ?と疑問がよぎる。
写真の親指の悲鳴と、親指ヒメ…まぁ、今思えば、とろけかけた大脳皮質のなかでの回路はそんなものだったんだろう。
ときどき遠のく意識のなかでも、なんとかウィキペディアで調べてみたらこんなことが載っていた。

親指姫は、チューリップの花から生まれた親指ほどの大きさしかない小さい少女である。ある日、ヒキガエルに誘拐されてしまう。魚達の助けで何とか脱出するものの、その後、コガネムシに誘拐され、更に置き去りにされてしまう。秋になり、親指姫はノネズミのお婆さんの許に居候する。しかし、隣の家の金持ちのモグラに結婚を強要される。しかしモグラの家にいた瀕死のツバメを介抱し、結婚式の日に親指姫はツバメと共に、花の国へ行く。そこで親指姫は、花の国の王子様と結婚する。

そうだったのか、ヒキガエルに誘拐されてしまうんだ。ということはヒキガエルにゲロゲロされたのかなぁ。サカナたちとも交流があったんだ。サカナたちと当然ヒレヒレはあったんだろうなぁ。え、コガネムシにも誘拐されていたの?コガネムシからはきっとムシムシだな。でも本当にそうだったらヒキガエルもサカナもコガネムシも、お前たちそろって牢獄行きだぞ。さすがにネズミの婆さんからはチューチューされなかっただろうけど、でも隣の家の金持ちのモグラからはきっとモグモグされているはずだ。まてよ、ツバメが若ければ若いツバメと逃亡したってことか。
とにかく王子様に出会うまで親指姫はキャーキャー叫びながら逃げまどう人生だった、ってことは、つまりは、今も昔も親指は悲鳴をあげているわけか、とまどろむ意識のなかで変に納得したのであった。

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