long time no see

理由はさておき、昨年4月から英会話の勉強に一念発起している。診療で年に一度使うか使わないかの英会話だが、やる以上はと、いろいろ本を買いあさってみた。そしてそれらを効率よく使えるように、ちょっとしたプログラミングで自前の学習ソフトを作り、やっと勉強の筋道が見えたのが9月ごろ。
頭のなかでは、何十年前の受験英語が深い濃い霧のなかで見え隠れしている。そのなかのひとつがlong time no see 日本語で「お久しぶり」。ああ、そんなのあったなぁ、とその箇所の霧が少し開ける。

そんなこんなでほんのわずかに英語脳がよみがえった気がしたので、11月ラグビーワールドカップの決勝戦の夜、福岡市のパブリックビューイングに出かけ、ビール片手に観戦しているとなんだか分からないけど、外人さんと必ずone team になれそうな気がして、あらかじめネットで調べていた外人さんと知り合いになれるらしいバーに、ふらふらと足を運んだ。
狭いバーだが、そこは入ったとたんにUS。USは行ったことはないけど、間違いなくUS。native speaker の言葉が空間を飛び交っている。
たどたどしい英語でビールを注文し、だれか相手になってくれないかとカウンターで飲んでいると、青年 foreignerがドアを開き店に入ってきた。その客に向かってマスターが口にした言葉は long time no see! 
おお、知っているぞ、そのフレーズ。ミッキーマウスに喜ぶTDLの子供のたちの気持ちが心の底から分かる。絵本で見たミッキーマウスが目の前に現れたなら、うれしいに決まっている。そしてわたしの隣の席に座ってきた彼に、酔いの勢いも手伝い思い切って英語で声をかけてみる。
すると、おお、応えてくれるではないか。今思えば、きっとこちらの発する言葉は「I am a boy」「I’m not a girl」的な陳腐な言葉の連続だったであろうが、そんなことは構わずずうずうしく話を続けることができた。
かくして、日本チームは舞台にはいなかったけど、英語脳が long time 脳死 だったわたしにとって、忘れられない夜となったのでした。

以上のようなメモを地元の医師会誌に今年初め寄稿した。
いつか君たちが見るときの挨拶だ。long time no see。
今日、君たちの13歳の誕生記念に行った、焼肉屋さん、おいしかったね。