喪中はがき


 母が今年六月老衰で他界いたしました。享年九十一歳でした。
いろんなものを作るのが好きな母で、干支のちぎり絵や様々な風景の刺繍をクリニックに届けてくれたものです。
 写真の詩もすべて母が創作したものです。わたしが小学校を卒業するまでの3年間、優秀賞として校門に掲げられていました。元の詩はもっと長かったのですが、ダイジェスト版になっています。横にいるのは小学3年生のわたしです。
頭で隠れていますが、わたしの名前がそこにあります。
つまり母は詩の宿題ができずにいた馬鹿な息子に助けの手を差し伸べたゴーストライターだったのです。
わたしにとっては、こんな風な”賢母”でした。
 でも今や本当のゴーストライターになってしまいました、などといういくぶん不謹慎な冗談も、きっとジョーク好きで優しい母ならひと一倍喜んでくれていることでしょう。
 そんな母をこの正月は家族で静かに偲びたいと思います。
 みなさまにはよい年が訪れますようお祈りいたしております。