レセプト電算化 :カンマ




 以前メモしたことのある自家製レセプト電算化が、いよいよ本格稼働の運びとなった。せっかくだからお友達の輪が広がらないだろうか、それを口実に飲み会の回数を増やせないだろうか、そんな思いをめぐらせながら個別で開発をやっている人がいないかネットで検索しまくっていたが、どうもヒットしない。
 もしそんな方がおられたら情報交換でもしませんか、とのメッセージをこめて今日のメモを残したい。


 電算化されたレセプトは画像のようなものだ。万の単位の行のなかの一部を抜粋している。長い数字は病名とか診療行為の中身などを既定のコードに対応させたもので、ほかにも数量や日数などの情報がカンマで区切られたものになっている。すでに関係機関で2回ほどの確認試験を経ており、出てきたすべてのエラーは修正されているはずのものだ。
 確認試験の際、まず出くわした問題がカンマの数であった。
 見れば分かるようにカンマだけが並んでいる箇所がいくつもある。カンマとカンマの間の空白はそれなりの意味があるのだが、「当分、使用しない」とまで明文化されている空白の箇所もあるのだ。
 使わないということは必要ないということではないのか。つまりそうした箇所のカンマは必要ないということではないか。そう勝手に解釈してしまう己をそのときはたくましく感じたものだ。
 だがそうではなかった。結果的にはネットで公開してある、ルールが書かかれたPDFファイル通りにカンマを連ねていかねばならなかったのだ。
 このカンマ問題を助長させてしまった要因がもうひとつある。
 参考にしていたPDFファイルが、途中で古いファイルだったことに気づいたのだ。新バージョンのものと比較するとカンマの数は微妙に異なっている。
 でも確認試験をやるのは相手先のコンピューターだ。ちまちました動きのうちのパソコンとは格が違うはずだ。たとえカンマの数が違っていてもきっと大型コンピューター様がそれをズバッと指摘してくれるだろう、そんな甘い期待を抱きつつ、カンマの数をかなりいい加減にしたまま第一回目の確認試験を提出したのは8月に入って10日も過ぎた頃だった。
 だが事態は急転直下、暗転した。提出したデジタル情報は、なんと全滅だったのである。
 フロッピーデスクの情報がまったく読みとれないとの電話が入ったのは盆前のこと。電話の向こうの、パソコンにそれほど精通しているわけでもなさそうな担当者がいうには、はっきりしないがカンマの数が違うのではないかとのことだった。
 ひとつでも数が違うとフォーマットが違うということで大ガタガタコンピューターは受け付けないらしく、そればかりかどこが違うかも教えてくれないという。
 
 市販のパソコンで処理され提出されたものではこんなことはきっとありえないことだろう。だがこちらはお手製だ。確認試験の申請のときプログラム名を記載する欄があるが、そこにはちゃんと”レセラセラ”と、決して市販の商品ではつけられない名前までついているプログラムなのだ。
 そうした事情を考慮してもらったのだろう、確認試験は原則として月に一回しか受けられないが、もう一回チャンスをくれるという。相手方の事務的な処理のために盆に入る前の明日までにしてくれという制限付きだったが、もう一度カンマの数を確認して送れば再試験をするといってくれたのだ。
 目の前に出されたビールと与えられたチャンスは、ちゃんと頂かねばならない。そう信じて生きてきたものの返事は、迷うことなくこうだった。


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