メロン

 親しくさせてもらっている先生から、夕張メロンが届いた。なんでも北海道旅行に行かれたとのこと。
 このメロン、りっぱなマスクメロンで”本物”のやつ。というのが小さい頃、プリンスメロンといって同じ瓜の仲間なんだけどマスクメロンより数倍も安い方が本物のメロンだと思ってたのね。


 こうした食材に関する勘違いはどういうわけか、ボクには多いような気がする。たとえば中学校に上がってそれまでの給食が弁当になったとき、クラスの人のごはんが白いのに驚いたことがある。うちは小さいときからご飯には麦が混じってたので見た目が少し茶かかってたのね。それが普通のご飯だと思ってたわけで。もちろんデパートなんかのご飯は白かったんだけど、あんなところのものは特別だと思ってたんで。
 それとか少し大きめのブドウを巨峰と思っていたり、一人暮らしを始めた学生のとき、オムレツとオムライスの違いなんてのも知らなかったから、レストランでオムレツを注文したとき、なんでご飯がなかに入ってないのかって抗議をしたこともあったなぁ。
 要するに食材の名前なんかには無頓着で、口にしておいしければよしという態度で生きてきたわけね。おかげでレストランでは恥をかいたももの、食材への好き嫌いが一切全く微塵もない大人に成長したしだいで。
 でもね、今思うとなんだか母親の経済戦略に乗せられていた節もあるんだよなぁ。それまで事実を知らずにプリンスメロンを口にしていたんだけど、あるときボクはマスクメロンの存在を知ってしまうわけね。そのときの会話をはっきりとは覚えてないんだけど、
「あげなマスクメロンは病人が食べるとよ。あんた健康でよかったねぇ」とか「王子さまが食べるからプリンスメロンったい」
なんて言葉が、潜在意識のなかでうごめいているんだけど。
 そういえばこうしてメモしてると、巨峰にしろ白ごはんにしろ、それがあることを知ったときもなんとなく、「あ、だまされてたのね」っていう感触があったような気がする。いつもお値段の高い方は隠されているわけね。
 あ、だからマスクメロンっていうのか…ってわけじゃないんだけど。

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