もみあげ

今日河川敷を走ったあと、正月も近いからと思い、足を延ばして駅近くの床屋に行った。クリニックの近くにもあるのだが、以前から利用していた床屋で、道路拡張かなにかで駅前に移ってしまったため、やや遠くはなったが、通い続けている。スポーツ刈りだから、ざっとバリカンを当てられ、細かい作業ははさみでと、チャキチャキやられ、やがて”もみあげ”に達する。そして、いつも訊かれるのはこう。
「ふつうでいいですか」
 別に短くなくてもいいし、のばすつもりもないから、こちらもいつもハイと答えるのだが、これが今日のメモ。ふつうってなぁに?


 たとえば食堂のメシのふつう盛りというのは、食堂の経営者と客では、基準が違っている。というのは実際に、そのことを経験したことがあるのだ。随分昔の話、大学の前のレストランでジャワカレーを注文したあと、出てきたものを見て、ルーが少ないのではないかと、ささやかな疑問を口にした。これがふつうだと主張する店と交渉の末、結局いくばくかのルーが追加されたのだが、そこは地方では有名なチェーン店。それこそルーの”ふつう”の量の基準なんかも厳密にあるのだとは思う。まぁ口にしたのもふつうじゃないのかもしれないが、とにかくそのとき、ボクと店の”ふつう”が食い違っていたことだけは間違いない。
 思うにふつうというのは、そうとうあいまいだというのが、ふつうじゃないだろうか。極端にたとえば少ないとか、極端に多い状態じゃないのを、ふつうと表現しているんじゃないだろうか。
百万人の日本人普通の人アンケートというサイトがある。どれくらい自分がほかの人より変かという”変さ値”を、実際のアンケートに答え、回答者のなかの位置を確認するというものだ。お遊びっぽくもあるが、いろいろな問題を投げかけていると思う。たとえばアンケートの第一問は、イチゴケーキを食べるとき、イチゴから食べるかどうか、なんだけど、はたしてこれが、ふつかどうかの基準になるのかという疑問。でも、一度見てもらえば分かると思うが、ここの主催者は、きっとそんなことは分かっているんじゃないかと思う。きっとみなさんふつうの人で、そのなかで、どれだけの”変さ値”かというのを、お遊びしようとしてるだけのような気がする。
 じゃあ、どういう食べ方をしたら、ふつうじゃなくなるんだろうか。イチゴとケーキを一緒に食べる?あるいは手で食べるとか、クリームを指でなめるとかの食べ方?食べたあと、皿をなめる?残りを指にこすりつける?こんなこと場合によっちゃ、やってるしなぁ。
 さすがに逆立ちして食べれば、ふつうじゃないとは思うけど、じゃあふつうってなぁにって訊かれるとやっぱり分からない。
 でもね、よーく考えると、髪の毛の長さはバリカンで何ブにしましょうかなんて訊くんだよなぁ。一回ふつうにしてくださいっていってみようかな。

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