都構想

5月17日の住民投票で、大阪都構想の是非に決着がついた。九州に住んでいるにも関わらずとても関心を抱いて推移を見守っていた。というのは、住民投票キャンペーン真っ只中のゴールデンウィークにUSJをはじめ大阪にある子供向け施設に赴いていたからだ。双方の熱気を直に感じた以上、たとえばたまたま夏の甲子園の会場にいたものがその勝敗の行方にいくばくかの関心をいだくだろうがごとく、その結末に興味を持っていたというわけだ。


その政治的な意味は分からずとも、大阪市内の施設で経験したある出来事の意味はおぼろげながら理解できたのでメモをしておく。
そこはいわば私設の科学館で、水や音や光を使った遊具や機械仕掛けの展示物など、そうした施設には必ずあるたぐいのもので満たされていた。
で、いくつか体験したあと、館内放送で昼から小ホールで人形劇があるとのアナウンスが流れた。40分ほどの劇らしく小学3年生になる双子の子らに訊くと見たいとの返事が返ってきたので観劇することに。
娘を亡き者にしようと図るママ母から、魔女が住むという森にパンを届けるよう命じられた少女がその森から無事生還するというストーリーだ。関西では由緒ある劇団ということらしく、70才は優に超えておられるだろうと思われるおばさん二人が50cmほどの木の人形を棒で操りながらの人形劇だ。台詞や歌をこなすため、舞台のセットから現れては隠れ、熱演のなか劇は進んでいく。
整理券をゲットし入場できたどもたちは100名はいただろうか、ほぼ全員が小学生以下で、会場に敷いてあるカーペットに靴を脱いであがった一団は自然に前の方には未就学の小さな子、それから順に大きな子へと場所を占め、それぞれが運動会ずわりをして劇に見入っていた。父兄は壁の回りに立ったりちょっとした長いすに座ったりして付き添い、笑いや歓声のなか話は進んでいく。
劇も終わりに近くなったときだった。ふたごの子らの近くから急に声が発せられたのだ。男の子のもので、それはこうだった。
「閉めぇろやぁ!」
見事な巻き舌の発音で文字に起こすとなかなか伝わりにくいが、ちなみに浪速のエリカさまに関するネット情報を紹介するとこんなもんだ。
【男性秘書が姿を現したのだ。「おい!人の車に当てたらどうするんや、オルァ!」と…】
舌を巻く回数あるいは時間はきっとその子の方が多かったと思う。声が発せられたのは主人公の娘が無事家に帰りつき、家の窓からその喜びを会場に伝え終わってからだった。少女は窓から姿を消し、窓は開きっぱなしになったままだったのだ。そのことがその坊やの気持ちを揺さぶり、うちからの声を呼び覚ましたのだろう。
会場は一瞬静まりかえったが、その指示に従った劇団のおばさんが窓を閉め、それで納得したのか、その坊やはそれ以上なにも語らず、そして場の雰囲気はもとに戻り、劇はエンディングへと向かったのである。
なにが彼をそうさせたのか、そのときはよく分からなかったが、今にしてみれば分かるような気がする。
きっと彼には彼なりの戸構想があったのだと思う。


そんなオチでいいと思っとるんかい、オルァ!

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