アウフヘーベン

お別れしたのは左のお姉さん指の先。あれから3週ほど経ち、しびれや、ときおり走る激痛にもなんとか慣れてきたが、慣れるに従い募る思いがある。
わたしは右利きだからギターを弾く際、左指で弦を押さる。だからもうギターは弾けないのだ。
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you belong with me

好きな男の子の彼女はチアリーダー。私はベンチから声援を送るだけ。彼女はハイヒールが似合う子、私はいつもスニーカー
でもあなたのことはなんでも分かっている。あなたの好きな歌も知ってる、あなたの夢も知っている。なんで気づいてくれないの。あなたの居場所はわたしの元。
なんども繰り返されるフレーズ You belong with me 
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小指の思い出

小指の思い出、という歌をふと思い出した。

あなたが咬んだ~小指が痛い~ 

そんな出だしの歌。何十年も前のことで結構ヒットした曲だった。子供ながら、そこはかとないエロチシズムを感じながら自分でも口にしたものだ。
わたしの場合は左小指の隣の指の思い出、ということになるのか。
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大安心

君たちにはときどき、パパのおじいちゃんについて話したよね。パパの父さんの父さんのことで、君たちのおじいちゃんの父さんにも当たる。不思議なことにパパのおじいちゃんのおじいちゃんの子供でもある。
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long time no see

理由はさておき、昨年4月から英会話の勉強に一念発起している。診療で年に一度使うか使わないかの英会話だが、やる以上はと、いろいろ本を買いあさってみた。そしてそれらを効率よく使えるように、ちょっとしたプログラミングで自前の学習ソフトを作り、やっと勉強の筋道が見えたのが9月ごろ。
頭のなかでは、何十年前の受験英語が深い濃い霧のなかで見え隠れしている。そのなかのひとつがlong time no see 日本語で「お久しぶり」。ああ、そんなのあったなぁ、とその箇所の霧が少し開ける。
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タイプライター

幼いころ、家にオリベッティタイプライターがあった。キーを打つとアームが下から上へと立ち上がりアームの先に刻まれた文字が紙に印字される。ところがめちゃくちゃに打っていると隣り合ったアームが絡みあい、動作が停止することがある。
実際、タイプライターを見たことのない人にはなかなか想像しにくいだろうから、今となっては貴重な体験だったと思う。
だがこの経験がおろかな行為の元凶になっていたことに最近気づいた。
ああ、神さま仏さま、わたしはなんとうそつきであったのでしょうか。
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東急ハンズ

先日耳栓を買ったときのこと。東急ハンズの入り口にある受付で、売り場を尋ねると、受付嬢は即座に3つのタイプ、すなわち、ひとつは水泳用、ひとつは工事現場などで用いる作業用、ひとつは家庭用で、それぞれどの階に売っているか説明してくれた。
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耳栓

事情があって週に何度か場所を変えて夜を迎えることになった。その場所は都会にあるマンションの一室でアクセスもよく、小ジャレた雰囲気が漂う部屋なのだが、残念なことに近くに消防署と救急病院があるため夜中でもサイレンがときおり響くことがある。
近隣には戸建ての団地があるのだが、別に「サイレンやめろ対策委員会」からのビラなども目に触れていないところをみると、それほど周囲のひとは気にしていないのかもしれない。でも職業柄か、どうしても脳髄の奥深いところで臨戦態勢の緊張感がちらりとわいてくるのだ。
そこで購入したのが写真の耳栓。

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「かたみ歌」

うちのクリニックの建築は単純な長方形の組み合わせとは微妙に異なり、おおざっぱにいえば漢字の「下」のようになっている。書き順で「下」のはじめの横線が 1 で以下 2,3 と番号を割り振ると、これもおおざっぱに 1 のあたりに待合と患者用のトイレがあり、1 と 2 が分ける左の部分が受付と診察室、2 が診察室への廊下、3 がスタッフ用のトイレになっている。この 2 の廊下から 3 のトイレに入るとまず目に入るのが洗面台にある鏡だ。
その鏡に奇妙なものを見たのは、数年前の正月のことだった。
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